オゾン層の破壊に関係する大気微量物質には、フロン、ハロン、臭化メチルなどの人為的な化学物質のほかに、メタンや亜硫化窒素など、自然起源や農業などに関係する物質もあるのです。これらの物質は通常、化学的には反応せず、成層圏へ転送されます。成層圏では、紫外線(UV)による分解や酸素原子との反応などにより、オゾンを消失させるClやNO,OHなどの触媒物質が生成し、オゾン層の破壊が促進されます。実際に、ドブソン分光光度計やオゾンレーザーレーダーなどを用いた地上からの観測や気球、航空機、人工衛星からの観測によって、1980年以降、成層圏のオゾン量の全地球的な減少傾向が認められています。また、オゾンの減少量は一般に高緯度ほど大きく、南極ではオゾン濃度が極端に低いオゾンホールが観測され、年や季節による変動はありますが、徐々に減少量の拡大傾向を示しています。 オゾンには、200~300nmの波長域にハートレー帯と呼ばれる強い吸収帯が、300~400nmにハギンズ帯と呼ばれる弱い吸収帯が存在し、酸素の吸収帯とあわせて有害な紫外線(UV)を吸収しています。紫外線(UV)は、波長によりUV-A(315~400nm)、UB-B(280~315nm)、UV-C(<280nm)に分けられていますが、成層圏オゾン層の破壊は、UV-Bの波長のUVの増加をもたらします。つくば市(北緯36度:夏至で快晴の日の正午)での成層圏のオゾン量の低下が地上におけるUVスペクトルへ及ぼす影響を計算したものをみてみると、UV-Aはオゾン濃度が減少してもほとんど変化しませんが、315nm以下のUV-Bは、オゾン濃度の減少に伴ってUV量が増加するという結果が出ています。さらに、オゾン濃度の減少に伴ってスペクトルが短波長側にシフトし、生物への影響が大きくより短波長のUV-Bが著しく増加しています。280nm以下のUV-Cの波長のUVは、オゾン層の減少に関係なく極めてわずかです。
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